五輪の書「萬理一空」

いただいたメールから、
先日の大相撲で優勝した琴奨菊が、
 大関昇進の口上に使った四文字熟語「萬理一空」
  これは宮本武蔵の「五輪の書」から登用したという。

そこで早速「五輪書」を読み直しましたが、
 あの四文字熟語は発見できなかった。

きっと、全巻五巻からなる「五輪書」の
 最終巻「空の巻」を、誰かが要約して使ったもの。

では、その「空の巻」から抄録してみよう。

 「物を辨(ワキマ)へざる處を空と見る處、實の空にあらず、
   皆、迷う心なり。(中略)
  色々迷ひ有て詮方なき處を空と云なれども、
   是、實の空にあらさるなり。(中略)
  心 迷ふ心なく、朝々時時に怠らず、
  心意二つの心を研ぎ、観見二つの目を磨き、
  少しも曇無く迷ひの心の晴れた所、
  是れ實の空と知るべきなり。(中略)

  空有善無悪  (中略)

  正保二年五月十二日

          新免武蔵守玄信     」

ここで「五輪書」は終わっている。
 五輪書には「原本」は残されていない。
  多くの写本が各地に残されているという。
   これが「萬理一空」となったのだろう。