『荒廃する世界のなかで』

イギリスの歴史家トニー・〜ジャットが著した『荒廃する世界のなかで』
市場経済を中心とする経済のグローバル化とは、18世紀のフィジオクラート
重農主義者)が主張していたように、自然によって定められた「摂理」のよう
なものなのか。とすれば、わたしたちは、その余りにも深刻な荒廃を嘆くだけで、
それに従うしか術(すべ)はないことになる。しかしそれだけでいいのか。
 本書は、こうした問題認識のもと、荒廃する世界への満身の怒りを込めて歴史家、
トニー・ジャットが残した、若き人々への「白鳥の歌」である。そこに漲(み
なぎ)る、サッチャー政権以来の欧米の浅ましいまでの市場礼賛と「政治の耐え
がたい軽さ」への批判は実に手厳しく、容赦がない。ただし、誤解してはならな
い。ジャットは、急進的な左翼や新左翼の季節外れのアジテーターではないのだ。
という、書評に出会いました。